忍者ブログ

MENU≫

nG-Lab.

絵文
雑記同人活動メッセージ返信
リンクこのブログについて
■[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

記事先頭へ↑ブログTOPへ▲
≪前の記事 次の記事≫
■月館の殺人<上>

漫画:佐々木倫子
原作:綾辻行人


佐々木倫子と言えば、「動物のお医者さん」とか「Heaven?」とか、
ほのぼの職業コメディ(?)をすぐに連想してしまうのすが、
なななんと、今度はミステリがキタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!
あの真面目な絵柄で人を抱腹絶倒の滝壺に落とし込む佐々木さんがミステリ畑に進出!?
しかも原作がこれまたミステリ作家の綾辻行人ときてる。

(実は桜井、ミステリについては大変疎かったりする…。
でもミステリマニアの母が「えっ、綾辻原作!?」とビックリしていたので
きっと正統派の作家さんなのであろうと思う)


最近の佐々木さんの本はいつでも装丁が豪華だ。
通常で回っているコミックスよりも二回り大きいA5サイズで、
手触りのいいカバー紙にタイトルは箔押し加工が施されている。
遊び紙を経てカラーの中トビラをめくったあとも数頁のカラーページが続く。
(これを口絵と言います)
お陰で購入時にはいつもレジに持って行くのを一瞬ためらってしまう。
(これ、同人誌でやろうとしたらいくら掛かるんだろう…)

この「月館の殺人」は、こともあろうにニス加工です!
(正式名称は知らんのだが、絵の上に透明な何かを乗っけて立体的に見せる加工です。
同人業界でも超大手さんぐらいしかやれないんじゃなかろうか…高くて)
なんだかいつもより更に力が入っている…(気がする…)

もしや、これまでとは全く違う新しい芸風に…!?

という多少の寂しさを含んだ期待感と共にページを繰った。

そして、期待は見事に裏切られた。
(ある意味裏切られなかった)

冒頭のカラーページまではミステリらしい雰囲気が漂っていたのだが、
物語はすぐに佐々木節にまみれていく。
ボーっとした主人公の後ろでツッコミを入れているギャル(死語)が、
「Heaven?」の山縣氏を彷彿とさせる…。

作品中にちりばめられる変人奇人から
「どこから仕入れてんの?」と言いたくなるようなネタまで、
すっかり佐々木ワールドである。
…綾辻ワールドはどこへ…?
そもそも綾辻氏の作品を知らないために、
この漫画にちりばめられているであろう綾辻的要素が全く見付けられない。
アヤツジサン、ゴメンナサイ…orz

(綾辻作品とはどんなものか、と母に聞いてみた所、
「鳥人戦隊ジェットマン」を熱唱する影山ヒロノブに見入ったまま、
「あんま読んだことないから、わからん」と言われました…。コラー!
私は山形ユキオの「百獣戦隊ガオレンジャー」の方が好きだ)

戦隊主題歌といえば、「月館の殺人」にもとある戦隊主題歌が登場する。

すっかり忘れていたが、この話は主人公の女子高生が祖父の遺産相続手続きのために
乗り込んだ特別列車「幻夜」の中で起こる殺人事件である(前半部分は)
主人公が乗り合わせた面々が全て鉄道ヲタで、
それぞれこだわりの違いから「●●テツ」というジャンルに分類される。
(上で「鉄道ヲタ」と表記したが、我々がおたくのことをヲタと呼ぶのと同様、
鉄道ヲタのことをテツと呼ぶらしい。本当かどうかは知らないけど)

備品をコッソリ盗んでは収集する「コレクションテツ」
列車の写真を撮ることが好きな「撮りテツ」
全国のあらゆる列車に乗るのが好きな(多分)「乗りテツ」
ボロボロになった時刻表を片時も離さず、「今、○○を通過」とか口走ったり、
ダイヤ表や乗り換えを語り始めると止まらない「時刻表テツ」
車内の寸法や材質を隅々まで調べまくる「「模型テツ」

…本当にこんな分類あるのか…?

甚だ疑問ではあるけれど、個人的には模型テツの竜ヶ森が好き。
すっげー暗いヤツなんだけれども、
随所に出てくる「……どうしても聞きたい?」の一言が大好きなのです。

それで、この面々でピアノバーに繰り出し、
なぜか「救急戦隊ゴーゴーファイブ」の主題歌を熱唱するシーンが登場するのだ。
(もちろん主人公ドン引き)
あんたら鉄ヲタちゃうん!?とツッコミを入れると同時に、
それが弾けてしまうバーテンさんにも疑惑の目が行く。
ていうかピアノ伴奏で歌う曲じゃないだろ。
リアルに想像するとすんごい切ない。
あの特徴的なコーラスもみんなで入れるんだろうか…。
私の知る限りでも、特撮というかいわゆるキャラクターショーの
追っかけファンの方(どちらかというと男性)は鉄ヲタ率が結構あるような気がするが、
両者は互いに切っても切れない関係にあるのだろうか。
(追っかけファンの場合は、全国津々浦々移動する間に
なんとなく愛着が湧くのが馴れ初めだとは思うんだが)

というか何故こんな場面にわざわざ戦隊ソング!?
まさか、佐々木さんが隠れ戦隊ファンなのか。はたまた綾辻氏がそうなのか。
思いがけない所に同志を見付けたような期待感に包まれたが、
多分実際の所は

「ここでテツ全員でなにか変な歌を合唱させたら面白いと思うんだよねー」
「さすがはおたく!みたいな感じですか?」
「そうそう、しかもピアノバーでその歌かよ!みたいな(笑)」
「あ〜、じゃあアニソンとかですかねぇ」
「それだとちょっと普通だから、もっと濃いオヤジマニアみたいな感じがいいなぁ」
「う〜ん、だったら特撮ものとかどうでしょう?」
「あ、いいんじゃない? じゃあなんか笑えるの探してみてよ」
「了解でーす」

…みたいなやりとりがあったのではないかと思う。
つーかこれが普通の成り行きだろうな。
(※どっちが佐々木さんでどっちが綾辻氏かは特に考えてないです、念のため)

でもどっちかの趣味だとしたら嬉しい面白いなぁ。

ミステリということで、あらすじには敢えて触れないようにしていたが、
主人公の振り回されっぷりとそれでいて冷静なツッコミには是非注目して頂きたい。
冒頭ではボケキャラと思わせておきながら、
本筋に入っていくに従って突っ込みキャラのポジションを確立していくのが楽しい。
というか、一般社会では天然ちゃんと呼ばれる人間にも冷静につっこまれてしまうのが
我々ヲタの宿命なのかもしれない…。
作品中ではテツ、つまり鉄道ヲタだけにスポットを当てているわけだが、
彼らの姿は紛れもなくヲタ界の住人そのものと言っても過言ではない。
(ことある毎に「テツっていうな!」「俺はテツじゃない!」と必死に訴える
連中の姿がもう……己の姿を見るようでイタイことこの上ないです)


佐々木さんの漫画はやっぱりこうでなくちゃ、と嬉しい反面、
「これ、ミステリだよね…?」という疑惑も湧かないではない。
が、やっぱりこれぞ佐々木ワールドってなわけですっごく面白かったのだった。

まだ上巻が出たばかりで続きは連載中とのこと。
今後はどうやら列車から降りるみたいだが、どんな結末になる事やら。
佐々木さんのことだから、思わせぶりに登場しておいてあっさり死んでしまったあの人も、
「実は死んでなかったんだよ〜ん」というオチに違いない。
と思いつつも、綾辻流の更なるどんでん返し(ごめんなさい、勝手な想像です)にも
期待したい所です。
PR
雑記≫本レス(0)関連()記事先頭へ↑ブログTOPへ▲
≪前の記事 次の記事≫
▼レス一覧
▼レスを投稿する
※使い方がよくわからなかったら、こっちを読んでみてください→ナノギガ流レス活用法







  (※投稿を編集するときに必要です)

▼関連記事一覧(トラックバック)
| RSS | ADMIN |
nano-GIGA-Laboratory
Copyright(c)2007,All Rights Reserved.
忍者ブログ/[PR]