見始めた頃は個人的にあまり好みではなく、
期待外れのシリーズだなぁと感じていたコールドケース。
中盤に差し掛かってやっと面白くなってきた気がする。
なぜ最初が面白く感じられなかったかというと、
殺人の動機がほとんど「恋愛絡み」だったからである。
CSIシリーズとは違い、容疑者・遺族の心理描写に重きを置くこの番組では、
恋愛沙汰はナチュラルと言えばナチュラルな題材なのだが、
何話もそんな話が続くといささか食傷気味になってしまう。
それでもCSIと続きの枠でオンエアされているがためについ惰性で見ていたのだが、
ここ2〜3話は本命のCSIよりも面白いかも…と思わせるくらいだ。
(この日のCSI:4#20は久々に「これだ!こーゆーのが見たかったんだYO!」
と小躍りするくらい面白かったんだけど)
特に今回の「ヒッチハイカー」は犯人の心理描写といい音楽の使い方と言い、
見終わった後にどこかの芝居小屋にでもいるような気分になってしまった。
1997年、マット・ミルズというヒッチハイカーがアトランティックシティの帰り道で強盗殺人に遭う。ニュージャージー州とデラウェア州で、ヒッチハイカーを狙った強盗殺人事件が連続で発生した事から、同様の手口で殺され未解決のままになっていたマットの事件との関連性が疑われ、連続殺人事件として捜査が再開される。少ない手がかりの中容疑者が絞られ、逮捕歴が山ほどある長距離トラックの運転手が重要参考人として浮かび上がるのだが…<公式サイトより>
この手の話では、第一容疑者は基本的にシロだ。
だってその人物がそのまま犯人だったら面白くも何ともないじゃないか。
視聴者はいつだって「マジで!?」というどんでん返しを期待しているものだ。
(という前提で敢えて最初の容疑者が真犯人だったというどんでん返しもありますが)
そんなことを思ってたらこの運転手が3件中2件の犯人だったわけだが…2番目に疑われていたロシア人の爺さんもシロだな、と勝手に推理をする。
だってすべての人間が平等なアメリカで亡命してきた人を犯人に仕立てるはずがないんです。
…という冗談はさておき。
こういうガンコ爺は、頭に血が上りやすいんだけど
人を殺したりはしないという類のキャラクターだ。
厳しい体制のロシア(当時はソ連?)から逃げてきて、
アメリカで真面目に働いて家族を養っている爺ちゃんが、
すわ、連続殺人一気に解決!とばかりに意気込みすぎたスコッティの厳しい尋問に負けて
「私がやりました…!」と泣き崩れるシーンは本気で庇いたくなってしまった。
スコッティ、君やりすぎ!
結局真犯人は従兄のブレインだったわけだが(この人、ジム・キャリーに似てませんか…)
最初はビジネスマンのようなスタイルで颯爽と現れ、
まるで被害者のマットと同様に危険で未熟な考えから脱却したかのように描かれているが、
リリーたちが最後に訪ねる時には、
場末のカジノのような場所でスりまくっている姿で登場する。
この辺、ちょっと巧いなぁと思ってしまう。
マットが心を入れ替えて真面目に働き始めた、というエピソードが描かれた直後に
スーツを着てやってくるのだから、
もちろんこいつも真っ当になったんだな、と見ている人間は思う。
しかもその姿で「ビジネス」「成功」という単語が出て来てもなんの違和感もない。
桜井、ここに騙されました(笑)
もちろん、奴の挙動不審な点で結構疑ってはいたのだが、動機がちょっと見えなかった。
カジノで儲けた金目当て…だったらありがちでイヤだな、とか考えたりね。
でも、本当の動機はもっと深くて、もっと身近なところにあった。
昔は弟や妹のように可愛がり、尊敬の眼差しを向けてくれていた年下の人間が、
いつの間にか自分を越え、幸せな人生を歩んでいる。
そして自分は、今度こそ今度こそと言いながらも
理想とは全く違う場所に流れ着いてしまった。
それに気付いてしまった時、人間は深い絶望に襲われるものだ。
ブレイン役の役者さんが巧くて、ラストに挿入されるの犯行リプレイシーンでは、
うっかり犯人に感情移入してしまいそうになるくらいだった。
脱帽。
そこの音楽の使い方もまたイイんだなぁ。
せっかくCSIの方もいい話だったのに、
その感動が薄らいでしまうほど深く深ぁく感銘を受けてしまった。
ごめんね、グリッソムさん。
そういえば、CSIの方も似たテーマだったなぁ。
「いつかは後輩に道を譲るものだ」
「自分の番が来ても、そう言えるのか」
(すいません、うろ覚え…)
さて、CSIと言えば本筋以外での登場人物のやり取り小ネタが魅力の一つだが、
コールドケースの方も一人一人の性格とポジションがハッキリしてきた感がある。
ヴェラ刑事の「なんだ、近いじゃねぇか」はベタだけど笑ってしまう。
ヴェラ可愛いよ、ヴェラ。
ちょっと暢気な雰囲気のジェフリーズも、よくヴェラと仲良くしていてほほえましい。
(と言ってはちょっとアレだが)
「カジノ」「ギャンブル」がエッセンスの今回では、
ラストシーンに二人でカードをしているなど、ストーリーを引き締める役割をしていた。
本日勢い余ってやらかしてしまったスコッティ君。
エリート志向というのかなんなのか。
カチンとくることもしょっちゅうだけど、キメきれないところがなんだか憎めない(笑)
必要以上の尋問で傷付けてしまったロシア人の爺ちゃんに謝罪する所なんかは、
「意外に素直でいいヤツじゃん!」と好感を持った。
あの握手のシーンも、爺ちゃんがマットと握手をしなかった、
というエピソードに掛けてるんだろう。
そういった細かい伏線がイイヨイイヨー。
そんな具合で、今後も一層期待なのであります。
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「玄晟.」の管理人です。
リンクに追加して頂けたんですね、ありがとうございます。
ブログ、ざっと読ませて頂きました。
すてきな絵を描きますね、ありがちなCGと違い、身体や顔の表情から生気が感じられて、単純化されていても特に嫌気を感じません。
僕のブログを読んで、何か思われたところがあったなら、コメントなりして頂けると、今後の活動の励みになりますし、嬉しく思います。
では。