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著者:司馬遼太郎
出版:新潮社

 

徳川家康の生涯を描く大河小説。
個人的には「小説」と言うよりは、司馬氏がまとめた資料にコメントを付けたり、「こういうことだったんじゃないか」と予測した一場面を書き加えたりした「伝記」的な色が強いと思う。
(どういうものを「小説」と捉えるかは人それぞれだと思うけど)

夏~秋頃は、戦国無双2(含猛将伝・エンパ)に夢中だったんで、知的欲求も戦国時代の方向に偏ってました。長宗我部元親が主人公の小説「夏草の賦」も読み漁ったり。
戦国2では本多忠勝が特に好きで、忠勝の活躍の様子でも書いてないかしら~、と読み始めたのでした。

「家康=狸」というのが定説で、いかに彼が狡賢くて腹黒いかっつー話になりがちだけど(うちの実家ではそういう扱いだった。なんでだ)、この本では、そういう生き方をせざるをえなかった若かりし家康の描写が面白かったッス。
冷酷で計算高いとか、そういう面の描写は少なく、逆に絶体絶命の三方原の戦いでは最前線に飛び出て「死ぬぞ死ぬぞー!」って暴れまくる殿とか、なんだか可愛い…とすら思える場面もアリ。
戦という対局ではなく「殿命!」という本能で動いちゃう忠勝も犬みたいで可愛いし(笑)
ゲームではモブ扱いの人たちもいっぱい出てきて、「あ、この人名前知ってる!」って浮かれたり、読後にエンパをプレイする時にちょっと贔屓しちゃったり、という楽しみ方もできます。

遠州育ちの人間としては、見知った土地の名前がそこかしこに出てくるのがまた面白い要素でもありました。
三方原とか超近所だし。
中学高校と通っていた辺りに犀ヶ崖という場所があって、そこにも「野営しているところに徳川軍の奇襲を受けた武田軍が潰走した」という、三方原の戦いにまつわるエピソードが残されてます。更に、崖に落ちて死んだ武者たちの亡霊を鎮めるために行われたという念仏は、今も遠州地方の年中行事。夏になると、町内会とかで念仏唱えて回るんですよね……夜中に。真っ暗な外から「チーン………ブツブツブツ……ドンツク、ドンツク」とか聞こえてきて軽くホラーなんだぜ……。
近所故に、三方原・二俣・磐田が一括りなのがスゲー違和感。確かに車でブーンと行ける距離は距離なんだけど。それに浜松城が「海辺の城」っていうのも違和感。当時は海辺だったんだろうか。

うっかり地元語りになってしまいましたが、身近な場所にちなんだエピソードに触れることができるのも、日本史を繙く醍醐味。見慣れた場所も違って見える………かも。
ちなみに忠勝がゲーム中で「本多忠勝、これより死地に入る!」っつって奮戦する場所は、磐田に住んでた頃はわりかし近所で……(以下略

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